第十八席
『霧吹き無用のお部屋改革』
まくら
ひと昔前のしつけ本には「猫がいたずらをしたら霧吹きで水をかける」「空き缶を落として大きな音で驚かせる」などと書いてあったものでございますが、現在の動物行動学、そして「ねこサポLIFE」では、これらはすべて『逆効果になるNG行為』とされております。なぜなら猫は「いたずらをしたから叱られた」とは理解できず、「飼い主が突然嫌がらせをしてきた!」と怯えて信頼関係が壊れるか、「飼い主が見ていない留守中にやろう」と学習するだけだからでございます。
本編
父「こらーっ、タマ! またテレビのコードを噛もうとしやがって! 昔の本に書いてあった通り、この霧吹きでシュッと水をかけるぞ! それとも空き缶をガシャーンと鳴らしてやろうか!」
さくら「お父さん、ちょっと待って! その霧吹きを置きなさい! 今どきの猫の本によるとね、霧吹きで水をかけたり、大きな音で驚かせたり、鼻先や首根っこを掴んで叱るのは、現代では全部『絶対NG』なのよ!」
父「な、なんだと!? 叱らなかったら、どうやっていたずらをやめさせるんだ!」
さくら「いい、お父さん。猫に霧吹きをかけるとね、猫は『コードをかじったから怒られた』とは思わずに、『お父さんの手が近づくと嫌な水が出てくる! お父さんは怖い敵だ!』って思っちゃうの。その結果、お父さんの手を噛むようになるか、『お父さんが見ていない留守中や夜中にやろう』って隠れてやるようになるだけなのよ!」
父「ぐぬぬ……お、俺がタマに嫌われるのは絶対に嫌だ! じゃあどうすりゃいいんだ!?」
さくら「猫の困った行動を直す鉄則は、叱るんじゃなくて『①物理的にできなくする(環境設定)』と『②代わりの望ましい行動をした時に褒める』の2つだけよ! 噛まれたくないコードには保護カバーを巻く! 乗られたくない棚には最初から物を置かない! 研がれたくない壁の前には最高の爪とぎを置いて、そこで研いだら褒める! つまり、人間側が部屋をアップデートするの!」
父「うーむ、猫を叱るんじゃなくて、人間が環境を変えるのか! よし、今日から俺の『手』は、タマを撫でるのと、おやつをあげる優しい役割だけに戻すぞ!」
(翌日)
父「おい、さくら、タマのために部屋のコードを全部カバーで巻いて、棚の上の物も全部片付けたぞ! ……ところで、俺が楽しみにしてた晩酌の一升瓶が棚の上から消えて、冷蔵庫の扉に頑丈な鍵がかかってるんだが、これはなんだ?」
🎐 オチを見る
さくら「お父さんの飲み過ぎも、叱るんじゃなくて『物理的に飲めなくする環境設定』にアップデートしたのよ!」
(おあとがよろしいようで)
※ サイトの記事をもとにした創作落語です。登場人物・出来事はすべて架空のもので、猫の困りごとへの正確な対処法は、各演目のもとになった記事をご覧ください。