第十七席
『一日一本の真剣勝負』
まくら
猫の爪切りというのは、飼い主さんにとってまるで格闘技のような大仕事でございます。猫を仰向けにひっくり返して羽交い締めにし、1回で全部の爪(前足10本・後ろ足8本の計18本)を無理やり切ろうとするから、猫は「爪切り=命の危険!」と大嫌いになってしまう。「ねこサポLIFE」の教えは実に粋でございます。『1日に1本切れたら大成功』にハードルを下げ、昼寝中や液状おやつを舐めている隙に、先端の白い部分だけを1秒でパチンと切るのだそうで。
本編
陸「師匠! うちの猫のトラの爪を切ろうと思って、仰向けにひっくり返して押さえつけたら、大暴れして引っ掻かれました! あと18本もどうすりゃいいんですか!」
師匠「これこれ、猫を仰向け(お腹を上)にして押さえつけるのは、猫が一番パニックになる『絶対NG』の体勢だよ。爪切りの極意を教えてやろう。いいかい、1回で18本全部切ろうなんて欲を出してはいけない。『1日に1本切れたら大成功!』と心を決めるんだ」
陸「ええっ、1日に1本だけでいいんですかい!?」
師匠「そうとも。普段から爪切りを猫の寝床のすぐ横に置いておきなさい。そして猫が気持ちよく昼寝をしている時に、肉球をプニッと押して爪を1本だけ出し、根元のピンク色の血管(クイック)の2ミリ手前、先端の白いカギ状の部分だけを『1秒でパチン!』と切る。もし猫が目を覚ましたら、その日は1本で終了してたっぷり褒めるんだよ」
陸「なるほど! 寝込みを襲って1秒で1本パチン、起きたら即終了! もし起きてる時に切るならどうするんです?」
師匠「猫の体を無理にひっくり返さず自然な姿勢のまま、前でお皿や袋から液状おやつを舐めさせて、夢中になっている間に後ろからそっと足を持ち上げてパチンとやる。また、11歳以上のシニア猫は爪が分厚くなるから、切れ味のいいギロチンタイプや国産ステンレス刃の爪切りに買い替えることだね」
陸「よし! 1日1本なら18日で一巡しますね! さっそく今日から、トラが昼寝してる隙に1日1本ずつパチンとやります!」
(2週間後)
師匠「おう、1日1本の爪切りは順調かい?」
陸「へえ! トラも全然嫌がらずに毎日1本ずつ切らせてくれるんですが……ひとつ困ったことが起きまして」
師匠「なんだい、深爪でもしたかい?」
🎐 オチを見る
陸「いえ、俺が毎日寝込みに1本ずつ切るもんだから、どの指を切ったか忘れちまいましてね、さっき数えたら『右の人差し指』ばっかり14回切ってて、他の17本が伸び放題になってました!」
(おあとがよろしいようで)
※ サイトの記事をもとにした創作落語です。登場人物・出来事はすべて架空のもので、猫の困りごとへの正確な対処法は、各演目のもとになった記事をご覧ください。